「違って当たり前」という考えを多くの人が持てば、もっと楽なのに。
2012年 10月 21日
シリーズ日本新生
"国際人"がニッポンを救う
(10月20日(土)午後9時00分~10時13分放送)
「居心地がいいから」「失敗するのが怖いから」、新しいことに挑戦すらしない。失敗をしてこそ、経験値があがるのに、慣れた環境を離れてこそ成長できるのに。何もしないことこそが最大の失敗だと思い知っている人は、日本の中にもしかしたら少ないのではないだろうか。
海外へ行ったり来たりしているわたしのもやもやとしていた疑問は、日本の問題にもなりつつあったのだ。
昨日、見た上記の番組は、専門家や市民の討論番組だった。ビジネスなどの面で、他のアジアの国々を追うかたちとなってしまった日本。その中で、これから世界に通用する人材をどう育てていくのか意見をぶつけ合っていた。
スタジオには、企業で働く30代以上の人たち、日本人学生や留学生など。
はじめは、日本人学生の元気のなさに焦点があたる。留学をしたところで、就職に有利になるのか不安、就職活動に遅れが出る、などの理由でやはりためらう学生たち。
それを聞いていた30代の女性のひとこと。「挑戦には、機会と恐れがつきもの。恐ればかりに目を向けて、せっかくの機会を失っている。就活に1年遅れるといっても、長い人生の中でのたった1年。成長するためには挑戦するべき。」
この女性自身も、大学生時代に短期留学を経験。やはり行きたいと思い始めた頃は不安だったそうだ。しかし、留学を経験した先輩に話を聞き、一念発起。今でも、その時の経験が役に立っているという。
ここにはものすごく共感を覚えた。わたしも留学やワーキングホリデーの経験があり、今までの人生の何分の一かを海外で過ごした。日本では簡単にできていたことが、他の国では難しかったり、自分がまるで小さな子供に逆戻りしたようなしんどさを味わったりした。また、語学力の足りなさを痛感したり、自分の力ではどうしようもない異文化の壁が立ちはだかったりもした。
しかし、そういった「自分の中の常識」をぶち壊される経験がなかったとしたら、わたしは今以上に思い上がった人間になっていただろう。成長には必要なものだったのだ。
自分より若い20代の人たちを見ていると、(全員ではないが)大きな失敗もしたことなく順調に来たんだろうな、と感じることがある。特に、学生時代に優秀だった人たちに対して。正解はひとつしかないと信じ込んで、それ以外に目を向けるという発想すらないというか。
そして、それは若い世代だけではなく、いずれの年代にもはびこっている。わたしより上の世代も、自分らが思う「正しい若者像」というのを押し付けようとする。それにぴったりハマらないわたしは、どうやら「敗者」だと、彼らの目には写るようだ。
海外に住んでいた頃は、(といっても、わたしが住んでいたのは、アメリカ合衆国、スウェーデン、オーストラリアの3カ国のみだが)学校の隣の席は、別の国の出身者なんて当たり前だったし、現地でできた友人の国籍もバラバラ。隣の人の考えが、違って当たり前なのだ。やはり、国の中での皆が守るべきルールはあるけれど、それ以外の部分では、「みんなそれぞれ違う」という考えがスタートになっている。
それは、わたしを突き放しもしたし、楽にもさせた。一番辛かったのは、日本に戻り、「みんな一緒」を押し付けられたことだ。(地元は田舎なので特に。)
そこを脱出できないと、本当に世界において行かれることになりそうだ。足の引っ張り合いはもうたくさん。(それが親切だと思い込んでる人の頭なんてカチ割りたいとすら思った)
世界うんぬんというのは、もしかしたら大きすぎるかもしれない。でも、すぐ近くで、周りの意見と違うことを言う人がいようが、それを受け入れてほしい。反対の意見を認める、というのではなく、別の意見を持つ人もいるのだということを。
番組に出ていたある大学生が、はじめは「留学なんて」と言っていたのだが、終盤に「行ってもいいかも!」と考えが変化していたのが印象的だった。やはり、目の前の経験者と話をすると、硬い頭がほぐれるようだ。
(と、いうのも含めて、若いうちはいろんなタイプの人と会うのも大事だと思う。こんな大人もいるんだ!と実感するために)
そして、もうひとつ興味深いことを取り上げていた。秋田市にある国際教養大学についてだった。
秋田市郊外にあるその大学は、なんと卒業できる割合は、半分ほどだそう。留学生も多く在籍し、留学制度も充実しているらしい。こういう大学を東北の秋田に作ったというところも、興味深い。海外でもやっていける人間を育てるためには、「場所はさして問題ではない」ということを体現しているようで心強い。