旅するイラストレーター こまつきょうこの日常図鑑

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近くて遠いところ〜鬼海弘雄 ギャラリートーク 土門拳記念館〜

「何もかも簡単に満たされてしまったら、逆に失うものが増えていく。」

「持たない、不足しているという事実が、次の歩みを後押ししてくれる」



今日、酒田市の土門拳記念館で鬼海氏のギャラリートークが開催されました。その1時間半近くのお話の中で、特に印象に残ったメッセージが上の言葉です。



この鬼海弘雄氏は、山形県寒河江市出身の写真家で、「PERSONA」という連作で2004年の土門拳賞を獲得。


そのうちの数枚を、以前どこかで目にしていたことを覚えています。
とても個性の強い人たちを正面から見据えて撮ったもの。それは、誰もが知る有名人ではなく、浅草が生活の場であるさまざまな立場の人たち。そして、それぞれの魅力が最大値に写っています。写真から境遇や歴史を考えずにはいられません。表情、立ち姿や姿勢、また身につけているものがそれぞれ語り出してくるようで。

こんな人物にぐいぐい斬り込む写真家って(失礼ながら)威圧感のある人かな…と思っていました。

が、鬼海氏の語る声は穏やかで、会場の笑みを誘うネタも散らばせていました。
トークは、旅の写真のスライドと共に進み、異空間に入り込む。内陸のイントネーションが時折ふと混じる日本語が、かろうじて自分のいる場所が酒田だってことをつなぎとめてるような感じ。インド、トルコの写真が7、8割を占め全てモノクロだったから、それもフルカラーの日常から離脱する「非日常」の要因であったかも。

旅に出る前に、写真集の構想を練ってから出発するのだそう。素人考えでは、"いいものが集まったから作品集出す"でしたが、着地点あってこそ、旅(この場合は仕事でもある)ですね。素人…orz


旅する写真と話から受けたエネルギーは膨大でした。同じ市内へ行ったのに、帰宅した時には、まるでずいぶん遠くから帰ってきたような、決して嫌ではない「動」の疲労感がありました。

冒頭のメッセージを見つけられた、大きな収穫のあった小さな旅でした。


鬼海弘雄
写真集『PERSONA』

土門拳記念館
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by komatsukyoko | 2013-03-02 23:43 | 【イベント】参加

by 旅するイラストレーター こまつきょうこ
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