見る、ってどういうこと?『眼鏡のとよふく』に行ってきた。
2013年 08月 07日
「世界が、広い!」
検眼用のレンズをかけて、お店のドアの前に立つ。
ガラスのドア越しに外の景色を見た瞬間…色が、形が目を通して頭の奥に飛び込んできた。
街路樹の緑の葉やざらざらした枝、少し離れた建物の外壁、近くのアスファルトの表面…
それぞれの色と質感、そしてそこにある空間まるごと、「理解できる」のだ。
それまでの眼鏡で見ていた世界が、まるで平面だったかのよう。
1.『眼鏡のとよふく』さん
わたしは、千葉県佐倉市にある『眼鏡のとよふく』さんのお店の中にいた。
2ヶ月ほど前に予約して待望の当日。検査と眼鏡の作成で訪れたのだった。
このお店は、Googleの検索で見つけた。
「普通と違う」眼鏡屋さんらしい。そこで作る眼鏡がやっぱり「普通と違う」らしい。
実際に行った人たちが書いたブログなどを読むと、ある人は、眼鏡を作りに行ったのに、食生活のことまで言い当てられて驚いたとか、関東近郊だけでなく、国内海外問わず遠方からお客さんが来るだとか、眼鏡屋さんらしからぬ話題が書いてあるのだった。
2.なぜそこで?
「目は露出する大脳である」は、『眼鏡のとよふく』の社長である豊福さんの言葉である。
眼鏡は視力を矯正してよく見えるようになればいいもの…ではないらしい。お店のことを調べていくうちに知った豊福さんの伝えようとしていることが印象的だった。それは、見え方と生活の在り方がつながっている、ということ。
これまで、中学生の頃から眼鏡は何本か作って来た。ただ、かけると見えるようになるものの違和感が出る。そんなものだと思ってもいた。
そして、使用中の眼鏡は5年近く前に作ったもの。
作った頃は度がきつかったのに、今では見えづらくなった気がしていた。それに、この眼鏡もかけているとものすごく疲れる。ぼんやりしていても楽だから、と裸眼で過ごす時間も多かった。でも、もっとクリアにものを見たい。そう思うギャップがどんどん大きくなっていた。
コンタクトはアレルギー反応が出るし、レーシックもやってみたいとは思ったが、手術するのは気が引けていた。
当然なんだけど、見えるものの全てを、(眼鏡を使うとしても)自分の視力だけに頼っている。見え方が変わったら、どんなふうになるんだろう。もっと色や形や影を「そのまんまで」見れたらいいのに。色を扱う仕事をするのだから、もっと「見る」ことを意識したい。
そうして、とよふくさんの眼鏡を作ることを決めた。
3、どんな検査だったか
検査は、たっぷり時間をかけてしてくれた。
はじめは、(名前知らないけど)眼科などでもよくある機器を使ってする検査。小さな台にあごを乗せて、次第に気球の絵とかピントが合ってくるあれです。
その後の検査が面白かった!普通、視力検査というと、片目ずつですが、とよふくさんのところでは、ほとんど両目でします。レンズを合わせる時は、片目ずつでもしますが、こういうよそではやったこともない検査を丁寧に丁寧にやっていきます。そして、検査の間、次々とばれていくわたしの素性(笑)目の使い方や癖には、それまでの生活や生き様が表れているそうです!まー、見事にいろいろ図星でした。ここに全ては書かないですが(汗)
その図星の中のひとつ。「ちゃんと物を見たいという力が強すぎる」ということ。力を入れすぎてがんばりすぎて、余計にいろいろダメにしちゃってたということ。心当たりは大有りで、だからどんどん不安になることもあったし、そうすると比喩的にも物事がますます見えなくなって…という悪循環だったりしたのです。初めて、眼のことでこんなに話を聞いてもらえたので、安堵とうれしさで胸がいっぱいだった。
そして、その検査で調整したレンズをかけて、お店のドアの前に立った。冒頭に書いた見え方は、それはもう衝撃としか言い様がない。と同時に、眼鏡のいらなかった頃に見えていた景色がこんなだった!と遠い記憶がするすると引き起こされ、懐かしさも感じた。自分がこの足で立ち、この世界の中に存在していることを強烈に実感できた気がした。やっと…。
「力の入りすぎていた肩を楽にして、ゆったり呼吸をすること。」
豊福さんの言うことをきくと、本当に視界が楽になる。
肩の力が抜けると、すうっと自然に背筋が伸びて、背が高くなったような気がした。それを豊福さんに伝えると、「背は高いんですよ。」今までちぢこまってたんだ、わたし。
次の記事に続く…予定。
お店のHP:眼鏡のとよふく
注:これは、わたしの個人的な感想です。当然ですが、実際に行って感じることは人それぞれでしょう。そして、行ったことのない人がこの感想やお店に対してネガティブなことを言っても、わたしは聞く耳持ちませんのであしからず。